Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

読んだ

2016年2月に読んだ本をブクログでふりかえる

今月は13冊。語学とかセキュリティのこととかなんかいろいろ手を出していたせいもあって、あんまり読めなかったなあ。 今月の★★★★★本は、結城浩『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』、内田宗治『「水」が教えてくれる東京の微地形散歩』、漢 a.k.a. GAMI…

漢 a.k.a. GAMI『ヒップホップ・ドリーム』

フリースタイルダンジョンに「モンスター」のひとりとして登場している漢 a.k.a. GAMIさんの自伝、菊地成孔さんも絶賛のこの本は、Kindle版出てたからとりあえず読んでみるかーつって軽い気持ちで読み始めたらマジでヤバくて、てかこのひとテレビ出したらマ…

長谷川町蔵・大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』

遅ればせながら「フリースタイルダンジョン」にハマりまして、その流れで日本のヒップホップについてググったりしてたのだけど、日本のシーンはともかく、ヒップホップそのものの成り立ちや歴史についてほとんど知識がないので、この本を買って読んだ。 あま…

植村修一『リスク時代の経営学』

「リスクマネジメント」という観点からビジネス書の古典を読みなおす、みたいな感じだったので、どういう新しい見方が示されるのだろうと期待して読んだら、各章の最後に「このように○○はリスクにどう対処するかという話なのであった」と述べられて終わるっ…

釘原直樹『人はなぜ集団になると怠けるのか - 「社会的手抜き」の心理学』

ひとは集団になると、無意識のうちに手を抜いてしまう。それは、ひとばかりではなく他の動物、ゴキブリにすら見られるという。その意味では、自然選択されてきた特質なんだろうので、一概に悪いこととばかりはいえないが、ともあれ人間の組織においてそれが…

村田紗耶香『消滅世界』

子供は人工受精によって作るもの、家族はその子供を育てるのみの、性的な欲望がほぼ完全に排除されているのが当たり前という設定の小説。 そうはいっても、すべての人間がそのように思えているわけでもなければ、それはそれで家族そのものの不要性や、同性婚…

三谷宏治『「ハカる力」 プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座』

三谷宏治『観想力―空気はなぜ透明か』の続きで、新版的な位置づけで刊行されたこの本を読んだ。定量化しがたいものをどうやって切り口を見つけて定量化していくかという話。三谷さんの本は、いつもながらに事例を取材する範囲が広くて、単純に面白い。 プロ…

結城浩『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』

セキュリティスペシャリストの試験でも受けてみようかなと思って、その勉強の前にひと通り暗号や認証についてこの本でさらっておこうと思って読んだのだが、素晴らしい本で、そんな目的はともかくとても面白かった。 一応こういう仕事をやっているのでひと通…

内田宗治『「水」が教えてくれる東京の微地形散歩』

竹内正浩『地図と愉しむ東京歴史散歩 地形篇』を読んでから随分間が空いたが、先日、気が向いて書店で手にとったこの本によって、また東京の地理と歴史に対する興味が蘇った。 その本よりもこちらはもっと地形より。高さを何倍にも強調した地図(現在と大正時…

リービ英雄『日本語を書く部屋』

温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』の流れで、言語的「越境」をしているひとの本を読んでいくシリーズ。リービ英雄さんについては名前はもちろんずっと知っていたけど、なんとなく気が向かなくて読んでいなかった。今回が初めて。 著者の場合、外交官の父親の…

伊藤邦武『プラグマティズム入門』

昨今はなぜかプラグマティズムが流行で、古典的プラグマティストの論文集とか、一般向けの解説書とかあれこれと本が出ているのだけど、そんな流れの一冊。 パース→ジェイムズ→デューイという古典的なとこから、クワイン、ローティ、パトナムという「少し前の…

山田清機『東京湾岸畸人伝』

東京湾岸に生きる「普通の」人々にインタビューした文章を集めたものなのだけど、「普通の」といってもそれぞれに濃い人生を負っている人々ばかりで、その語りそのものが単純に面白い。それに加えて、各章でわりと長々と一見関係ないエピソードや知識、はた…

カンタン・メイヤスー『有限性の後で』

『身体と親密圏の変容』(岩波講座 現代 第7巻)の続きで、新刊のカンタン・メイヤスー『有限性の後で』を読んだ。 事実性の必然性なしの絶対化については説得的だし、確かに、なぜ相関主義的な見方ばかりがこれまで取り沙汰されていたのだろうかという疑問を…

今野真二『正書法のない日本語』

心内のなにごとかを表現するのに、自分なら日本語の書き言葉を使うわけだけど、なんらかの理由により日本語を使えない場合にどんな感じがするかということで、このブログでも日記を英語混じりで書いたりしている(ほんとはもっと全然使えない、いちから勉強す…

ハーバート・A・サイモン『意思決定と合理性』

サイモンが1982年に講演した内容を書籍化した本。合理性を、期待効用理論の前提するそれ、例の「限定合理性」、直感による合理性、進化の中で選択されてそれに分類して、読みやすく説明されているのがよい。 人間の合理性を高めるためにあれこれやってきた(…

久保達彦・道井俊介『nginx実践入門』

福岡出張にいっていたら、ちょうど福岡にいらしていた@kazeburoさん経由でご恵贈いただきました。ありがとうございます。 nginx実践入門 (WEB+DB PRESS plus)作者: 久保達彦,道井俊介出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2016/01/16メディア: 単行本(ソフト…

藤原書店編集部編『後藤新平の「仕事」』

後藤新平には以前から興味を持っていたのだが、最近自分の考えが小さいなあとあらためて思うようになってきたので、ここはひとつ、後藤伯の仕事ぶりに接することで我が身をふりかえろうかと思って読んだ。 インタビューや、過去の文章の再掲で構成されている…

デイヴィッド・セイン『英文ライティングルールブック 第2版』

文法についてはある程度勉強してきたのだけど、語法や句読法についての知識や感覚が薄いので、いざ文章を書こうとすると困ることが多いし、実際、おかしな文章になってるのだろうと思う。少しでもマシなものにしようと思って、ライティングについての本をい…

三谷宏治『観想力―空気はなぜ透明か』

三谷宏治『戦略読書』の続きで、そこでも紹介されていたこの本を読む。 「観想力」というのは、ものごとをもっと多面的かつ広い見地から観る力ということだろうと思う。そのためには「視点」「視座」「切り口」の3つにおいて、常識にとらわれずに考える力が…

伊藤隆『歴史と私 史料と歩んだ歴史家の回想』

読みたかった本がKindle化されてるのを見つけたので、さっそく買って読んだ。僕のような単に本を読んでるだけの者はつい、何かの知識に対して本があることを前提としてしまうわけだけど、著者の、史料そのものをまだ生きている本人や遺族をたずねてまわって…

名和小太郎『情報セキュリティ』

今年から情報システム部門も責任範囲のひとつに入ったので、10年前の刊行当初に買って読んだこの本をあらためて読んだ。 教科書的な情報セキュリティ本のようにはかっちり整理されているわけじゃないけど、戦後のコンピュータやソフトウェアおよびネットワー…

加藤恭子『星の王子さまをフランス語で読む』

サン=テグジュペリ『小さな王子』(野崎歓・訳)からの流れで、フランス語原文で読んでみたくなったので、勉強を始めているところ。この本は、ストーリーに沿いつつ文法はもとより、繊細な読解についても示していて、とてもよかった。 ただまあ、フランス語文…

ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』

温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』を読んだ流れで、複数の言語を使って文章を書いている作家への興味が再燃してきたので、購入して読んでみた。 ジュンパ・ラヒリの場合は、両親の言語はベンガル語で、社会的には英語を話し、また英語によって作家としての名…

温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』

書店でたまたま見かけてぱっと買ってみた本だったのだけど、とても素晴らしかった。台湾における言語使用の実際に興味があって、第4話 多言語社会 - antipop.fm (あんちぽえふえむ)でも話していたりするのだけど、著者の家族の中でのそれは、もちろん文章が…

宮崎哲弥・呉智英『知的唯仏論』

文庫化されていたのを見たので、買って読んでみた。仏教ってそもそもなんだろうね、という話と、哲学・社会的な話題とからめた話とが語られていて、読みやすい。しかし、宮崎さんはよくあれこれ知ってるなあとひたすら感嘆。 なんか後半は乗れなくてさらさら…

サン=テグジュペリ『小さな王子』(野崎歓・訳)

光文社古典新訳文庫が半額セールをやっているので何冊か買ったうちの1冊。今回初めて読んだ。とてもよかった。特に、(多くのひとがそうであるだろうように)以下の一節に感嘆を覚えた。 そして王子は、キツネのところに戻ってあいさつした。 「さよなら……」 …

盛田茂『シンガポールの光と影』

2015年11月24日付の日経新聞で紹介(シンガポール映画の気骨 厳しい検閲にもひるまぬ表現者たち100人以上を取材 盛田茂 :日本経済新聞)されていた著者の本が刊行されていたので、購入して読んだ。 シンガポールといえば、お国柄や実際に行って感じたイメージ…

「ゲンロン1 現代日本の批評」

先日刊行された「ゲンロン」がKindle化されているのを見つけたので、買って読んでみた。批評関連の文章を読むのって久しぶりだなあ。 『近代日本の批評』の現代版「現代日本の批評」は、1930年代の文芸復興期と80年代のニューアカがパラレルな現象であり、メ…

『身体と親密圏の変容』(岩波講座 現代 第7巻)

千葉雅也さんの文章を読むために買ったのだが、せっかくなのでその他のも読んでみた。千葉さんの文章は、唐突に社会的な話と結び付けられているように思えて、そこを納得さえすれば面白いけど、それでもなおそういう話と「人文学」とになんの関係があるのか…

三谷宏治『戦略読書』

『経営戦略全史 50 Giants of Strategy (ディスカヴァー・レボリューションズ)』『ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)』の三谷宏治さんが、読書論の新刊を出したということで、購入。すごい読書家なのだなあと驚く。セグメントわけて…