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Blog ツールの隆盛以降、それまでの個人ホームページ文化が持っていた「アバウトページ」のようなものが急速に廃れてしまい、サイト制作者についての情報が時にはウザったいと思われるほど詳細に書かれているといった光景があまり見られなくなり、「つーかこ…
『北』へ行くやつはいつものたれ死にだ とかつて椹木野衣は書いた(『シミュレーショニズム』河出文庫、p.160)。グレン・グールド、間章…。対して、あらかじめ死んでいるハウス・ミュージックは「南へ」とどこまでも逃走しつづける、と。 その伝でいけば、…
なにごとをも忘れがちな貧しい頭脳の持ち主にとって、まず第一に備忘録としての役割を果たすべきものであるが、ほとんど読み返すこともなく、したがって、なにを書いたかは常に忘却の彼方にある。 日記を読み返すことがないからといって、彼が現在の状況に充…
自らの性癖、性的嗜好について彼はあまり深く考えたことがない。美しい絵画の魅力と、道端に寝そべる猫たちの愛らしさと、優雅な女性のハッとするような身のこなしとになんの差異があるのだろうか?なんらかの差異があるとして、それがどうしたというのだろ…
髪の短い少年ふたりがなにごとか楽しそうに語らいながら歩いていたのだが、そのひとりが唐突に「ここに俺の血がついている」と声を低くしていう。勝ち誇っているかのような響き。海と歩道を隔てるコンクリートの壁の地面すれすれのあたりにひっそりと数滴分…
生きているということ自体が、その味わい嘗め尽くすべき瞬間と我に反る機会の総てに於いて、甘美たりうるし、残酷なほど甘いものである。此岸を「彼方」として生きる明確な意思さえあれば、人生は「甘美」な奇跡で満ち溢れる。 『甘美な人生』福田和也・著、…
ひとつところに腰を据えることのできない移り気のはやさを彼自身はある種の美徳だと感じている。そのためになにごとを成し遂げることがなくとも、ある場所からある場所へと移動しているときの速度の感覚、世界が変容する瞬間のめまいに溺れることの退嬰的な…