美しいものたちの世界
ブラッド・メルドーの "Elegiac Cycle" を聴きました。しかし「こんなの聴いてなにをいえばいいというのか!」と思わずキレ気味。本当に美しい。彼の音楽を今回初めて聴いたのですが、それまではなんとなく小洒落たジャズ・ピアノなのかしらんと聴いてもないのに思っていて、結果、見事に思惑を外され度肝を抜かれたのでした。
そして、2 日に亡くなった マル・ウォルドロンがアーチー・シェップとともに今年の 2 月に吹き込んだ "Left Alone Revisited" もまた…いや、もうね、馬鹿のように同じことをなんども書きたくないのですが「こういうとき、なんて書けばいいかわからないの」「"美しい" って書けばいいと思うよ」ってな塩梅で、「美しい」としか書きようがないんだよ!<ついにキレた
あり得ない抑制で以て静かに弾かれるマル・ウォルドロンのピアノと、人生そのもののように豊かな深みを帯びたアーチー・シェップのテナーサックス。不意の激情に耐えきれなくなったのか唐突にフリークアウトするふたりの初老の男たち。全身が総毛立つってのはこういうことなんだなぁと身を以て知った、貴重な聴取体験でした。
音楽について感想を書くってのは僕には無理だ。もう完全にやられ果てているもの。今回の 2 枚なんて、立て続けで「人生におけるベスト」級の代物。もういいです。ひたすら美しいものたちの世界に埋没して生きていく所存ですよ。