「芸術新潮」2013年8月号(丹下健三特集)
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/07/25
- メディア: 雑誌
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丹下健三生誕100年を記念する特集ということで、購入。一昨年から昨年にかけては、震災以降の建築という文脈もあり、メタボリズムがブームだったわけだが、それがいったん落ち着いたタイミングでこの特集を読めたのは、個人的にとてもよかった。
そのメタボリズムの立役者となった建築家たちの師匠である丹下健三の新発見資料に基づいて、磯崎新さん、AMOの太田佳代子の対談に導かれる形で特集は構成されている。磯崎さんもすっかり髪のボリュームがしんなりしてきて、お歳でいらっしゃるなあという感じなのだけど(今年で82歳なんだから当たり前だが)、往時の資料を前に、この時どう考えていたか、などと語っている様は、すごいレベルで競いあっていた師弟関係のすごさみたいなのをあらためて感じるなーなどと思ったり。
当時の、そのどれもが未完に終わった都市計画は、どれだけ実現性を持って提案していたのかよくわからないのだけれども、建築家が新聞の正月号で大々的に東京の新な都市計画を発表していた時代、そしてそれに全力で応えていた丹下健三を始めとする門下生たち。そして、その弟子たちが、さらに夢を拡げてメタボリズムという運動を画期していくあたり、『プロジェクト・ジャパン メタボリズムは語る…』を読むとつぶさに知れるのだけれども、本当に興奮的。
時代は変わって、現在は建築よりもむしろインターネットの方が新たな「アーキテクチャ」にふさわしい場になっているはずなのだけれども、まだまだ不自由が多いし、それでいて巨大サービスに覆われてある種の閉塞感すら出てきている風な中で、自分などはともすればぼんやりと、日々の雑務にかまけてしまって、初心を忘れていたりするので、こうした人々の過去の挑戦にあらためて触発されるところがあった。