Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

「Webサービスのようなプロダクトについての議論について教えて下さい」補遺

Webサービスのようなプロダクトについての議論について教えて下さいというエントリを書いたのには、いくつかモチベーションがある。中でも、大きな論点のひとつであるOSSを利用した事業戦略について、それらを列挙する:

  1. Web2.0からもう10年近く経ってるので、OSSを高度に利用したWebサービス企業の事業戦略について、ふりかえりや効果測定がされてもよいだろうけど、そういう論考が少なくとも日本語で読める範囲では見当たらない(もちろん、僕の勉強不足である可能性がおおいにあります)
  2. Webサービス企業では、たとえば言語やDB製品等の選定について、たとえばOracleとかそういった商用製品を使うという検討自体がそもそもあまり行われていないという感触があって、それはそれでスピードに寄与した面はあるけど、本当にそうなのかどうか検証する必要がある
  3. OSSの利用には様々なメリットとともにコストもあるが、2のような状況だと当初は運用のコストをあまり考慮しないことになる(たとえばMSの言語やOracleとかを検討すると、当初からコストを意識せざるを得ない)ので、思っていた以上のコストが実はかかっていたと後で気づくことになる。うちの会社もそうだが、昨今、技術基盤的な部署を各社で導入しているのは、そうした見えないコストにスラック資源を導入することで対処している動きとみることができる。そうした組織構成が、Webサービス企業においてはよいものとなり得るのか

そういったことをそろそろちゃんと考えてもいいんじゃないかな、という感じ。

追記

えふしんさんからよいパスをいただきました:

大企業はSEを如何に夜間に稼働させないかを前提にインフラ構築にお金をかける。ネットベンチャーはそこを人で解決する。フローの人件費ではなく、短期的な現金の支出を許容するや否やという部分に帰結するのでは。

許容できるか否かでかわってきて、いずれにしても取りうる選択は限られてくる。とすると、現にとられてきた選択を検討することで、今後のWebサービス企業の戦略に有効な議論が引き出せるんじゃないかとおもいます。それは、

  1. スタートアップ時に、限られた許容可能性の範囲で、どのような戦略がよりよいのか、これまでの事例検討を元に判断できる
  2. 既存企業において、スタートアップとは異なる状況において新規事業を行う際の、実行戦略について役立ちうる
  3. 1, 2的状況に際して、上述3のような組織構成の持つ意味をより詳細に検討できそう

というあたりに自分の中ではモチベーションが整理されてきました。ありがとうございます。