2014年のふりかえり
年の瀬なので、2014年をふりかえる。
2014年の抱負
「2014年の抱負」で抱負を述べた(いま初めて再読した……。本来、こういうのはもっと定期的にふりかえるべきだろう)。ちょっと長いが、引用。
私の本業はなんでしょうか。それはソフトウェアエンジニアです。もうちょっと広くいうと、問題の発見・解決をするに際して、技術的観点からそれを行う専門家といったものです(まあ、それをソフトウェアエンジニアというのでしょうけれども、ちょっと違う)。そのように自己認識を行うと、単にソフトウェアエンジニアというところからは、いろいろとやるべきことが広がってきます。いつかtagomorisさんがいっていたように、自称が自認を決定するわけです。
もちろん上述認識は、ソフトウェアエンジニアという自己規定を包含している、というか、それに基礎づけられているわけですから、まずはその方面においてさらに自己研鑚を行っていく必要があります(そもそもソフトウェアエンジニアとしてのスキルについて、まだまだ伸びる余地があるし、そうするべきだと思っています)。それに加えて、自己(あるいは自分が関わっているあれこれ)の基盤そのものを可能とする条件についてリフレクティブな考察を行い、それをもってさらなる非連続な発展を遂げる必要があるとも、この頃は思うわけです。
抱負とかいって立派なものを掲げても、なかなかその通りにはやれないわけだが、今年はけっこうこの通りにあれこれやったように思う。では、何をやったのか。
1月〜3月: エンジニアリングと経営
年頭、1月7日「 ジェネラリストについて」というエントリを書いた。ソフトウェアエンジニアというスペシャリストでありつつも、性格上拭い難いジェネラリスト志向があり、それらにどう折り合いをつけるかということへの回答が、この1年の取組みだったようにも思う。
すなわちそれは、先に「2014年の抱負」から引用した「問題の発見・解決をするに際して、技術的観点からそれを行う専門家」としてのソフトウェアエンジニアという枠を、もうひとつ上のレイヤへ押し上げようというものであった。つまり、経営のほうへと一歩踏み出すということだ。
それと同時に、折からの組織論への興味関心があって、経営学を学べる大学院に行こうと思って「首都大学東京ビジネススクール不合格記」に書いたとおり、ビジネススクールの受験をしたりしたのだが、不合格になってしまった。そのため、そういう方向からは攻められなかったのだが、いろいろあってそれどころじゃなくなってしまったので、結果的にはよかったと思う。
以下、その関連で書いたエントリ:
- 本社機能としての投資家的機能を社内市場へ移譲することについてのメモ
- アジャイル開発プロセスの組織論的文脈における研究の現状
- 最近の会社での統計学普及の取り組みと入門書について
- 『Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』
- 情報共有の必要性について
- リーダーシップを発揮するのは誰か?それはどのようにして可能となるのか?
- 首都大学東京ビジネススクール不合格記
4月〜6月: 地固め
いろいろあって僕とhsbtさんとであれこれ引き継ぐことになったので、社内のエンジニアに関する体制や制度を地固めしていた時期。上述した、レイヤを経営に寄せていくことを考えていた時は、そういうのを実際に試みるのはずいぶん将来のことと考えていたのだけど。
まず、これはmizzyさんがいた頃からやりたいといっていたことだが、エンジニア全員について技術的観点からの評価を取り入れようという制度を導入した。その際、勝手に基準を決めてもしかたないので「エンジニア評価のしくみをイイ感じにいじりましたであります | ジンジン(ペパボ人事のブログ)」にあるように、東京・福岡でワークショップをやったりしながら、みんなで評価基準を決めるという取組みを行った。
次に、エンジニア職位制度も評価者が変わるということで、あらためて「こういう考えで評価します」というのを社内外に告知したり。「技術力」というものを、以下3点に言語化した。
- 作り上げる力
- 時間の経過に耐える力
- 影響を広げる力
全体的な水準についてこれまでとは変えることなく、評価軸を明確化することで、より取り組みやすい制度になったように思う。
その他、採用にもより深く関わるようになった。当時新卒採用の後半戦だったので、以下のエントリにあるスライドを作って説明会を行ったりもした。
7月〜9月: 技術責任者として
「GMOペパボ株式会社の技術責任者に就任いたしました」に書いた通り、8月1日付けで、僕が技術責任者、hsbtさんがチーフエンジニアに、という体制を作った。このことで、エンジニアリングに関するレイヤをひとつ上へと上げるとともに、マネジメントと技術をふたりで分担することで、より強い体制を作れたと思う。
で、「具体的に何をやってたの?」というところに関しては、まだあれこれと書ける状況ではないので、割愛。社内的には、経営会議のメンバーになるなどして、経営へのコミットを少しだけ持つようになったりした。
10月〜12月: 飛躍的な成長へ向けて
エンジニアの採用について、自らの目標化して取り組むことに決めたので、下半期はあれこれやった。そのうちのひとつとして、ペパランチョンなるものを始めたり。これは、東京・福岡で、話してみたいエンジニアを指名してランチを食べながら会社のことをあれこれ聞けるというもの。マイナビさんに取り上げていただいた(選ばれるエンジニアはドキドキ!? - 転職志望者が自由に話を聞ける、GMOペパボの「ペパランチョン」企画とは | マイナビニュース)。
これまで書いてきた社内の制度・体制にしても、エンジニアの採用にしても、そういうことをやる目的というのを強く意識する必要があって、その目的とは、まずは「成長する」ということだ。「成長」という面において、みなが強くそれを志向しているかといえば、僕の立場からいうとまだまだだと思っている。
以下のエントリは、そういう意味でエンジニアたちに向けてアジテートするために書いたもの。圧倒的に成長しない限り、将来はないのだから。
また、技術責任者としては、適切な技術選択・ポートフォリをの構築を行うというのもまたその仕事のひとつである(そのあたりは、id:stanakaさんの「CTOの役割と組織における技術的ポートフォリオの組み方 - Hatena Developer Blog」に詳しい)。その一環として行ったのが、以下。
その他、来年の取り組みに向けて、プロジェクトの発足や組織作りなど、あれこれといろいろやっていたけれども、そのへんは割愛。
技術イベント
以下5つに出て、おしゃべりしてきた。まあ、上述したような事情もあったりして、自分自身の関心が変わりつつあったので、純粋に技術的内容というよりは、少し違ったレイヤの話が多かった。
- ぶつかり稽古 2014年初場所 #cross2014
- 「「技術的負債」を問いなおす」というタイトルでJAWS DAYS 2014で話してきた #jawsdays
- 「酒を飲みながらコードを書く」というLTをした
- GMOペパボのエンジニア新人研修 #lldiver
- YAPC::Asia 2014で「いろんな言語を適材適所で使おう」という話をした #yapcasia
まとめ
というわけで、「2014年の抱負」に:
自己(あるいは自分が関わっているあれこれ)の基盤そのものを可能とする条件についてリフレクティブな考察を行い、それをもってさらなる非連続な発展を遂げる必要がある
と書いた通り、少なくとも自分にとってはそれを成し遂げつつあるという1年だったかなと思う。