村上龍・著『半島を出よ』
- 半島を出よ (上)
-
- 村上 龍
- 単行本
- 434400759X
- 2005/03/25
- ¥ 1,890
- 幻冬舎
- 半島を出よ (下)
-
- 村上 龍
- 単行本
- 4344007603
- 2005/03/25
- ¥ 1,995
- 幻冬舎
村上龍さんによる書き下ろしの新刊『半島を出よ』を、お休みを利用して読みました。上下巻あわせて 900 ページを超える長編は、久しぶりなのではないでしょうか。村上龍さんの小説をわりと好きで読んでいるので、まぁそれなりに期待して読みました。結果、これまでの村上龍作品と比べて最高にいいというわけではないにしても、まったく面白くないわけではないし、これぐらいの規模のものは何年かに一度出るのを読むぐらいなんだし、まぁいいかなって感じ。
この小説はごちらかといえば『コインロッカー・ベイビーズ』『愛と幻想のファシズム』『五分後の世界』『ヒュウガ・ウィルス』『希望の国のエクソダス』といった流れに属する、村上龍さんの多岐にわたる小説作品の中でもメイン・ストリームの作品だと思います。他には『限りなく透明に近いブルー 』『69』『ラブ & ポップ』といった青春小説といえばいえるようなもの、『ニューヨーク・シティ・マラソン』『テニスボーイの憂鬱』『ラッフルズホテル』のような都市小説、あるいは『コックサッカーブルース』『超電導ナイトクラブ』『ピアッシング』『エクスタシー』『メランコリー』『タナトス』といった性を扱ったもの等、いろんな系統の小説があります。
上に挙げた小説をどれも読みましたが(他にも読んでるけど)、そういう記憶を思い出しながら『半島を出よ』を読みつつ、なんだかかつての小説に比べると文章の勢いに欠けるような気がしました。また、いまの日本人にとっての外部というべき存在(ここでは高麗遠征軍)がある意味称えられるのはこれまでの小説でよく見たモチーフでしたし、社会から切れた少年たちが活躍するという筋書きも『希望の国のエクソダス』で描かれたものでした。まぁ総決算的といえばいえるかもしれませんが、そういう意味では目新しさをあまり感じることができなくて残念だったかなぁ。