2018年10月28日
熱海へ。MOA美術館で行われている「信長とクアトロ・ラガッツィ 桃山の夢と幻 + 杉本博司と天正少年使節が見たヨーロッパ」を観る。というか、そこにたどり着くまでの、この美術館の偉容に、圧倒された。全然知らなかったのだが、創設者はある宗教の開祖であるとのことで、そういう関連の施設らしい荘厳さである。
展示の方は、タイトル通り桃山時代の名品パートと、杉本博司さんの写真パートにわかれているのだが、いずれも圧倒的な力で迫ってきて、ほとんど声を失ってしまう。「初花」は展示の期間が終わってしまって観られなかったのだが、大名物の茶入をいくつも眺めていると、こんな小さくてかわいいものに国とすら換えてしまえるようなあり得ない価値を担わせてしまうことに、ものすごいゾクゾクする感じを覚えていたのだろうなあという、その感情の一端に共感が発生しすらした。
また、杉本博司さんのパートは、超高度な技術と膨大な労力を費やして作成されたイメージの完璧に制御された美しさに、いつもながらに逆らいがたい美的魅惑を感じるのだし、今回の作品は特に、建築物が対象なので、光と影の対照がよりはっきりとしていて、モノクロの画面が、精緻極まりない階調で映し出されていて、画面の隅々まで引き込まれる感じがする。そしてなによりも、国宝、重文、大名物の列挙を相手にひけをとらない、このひとの作品の強さ。ほんと杉本さんは、とんでもないよなあ。
ちょっとお茶したあと、熱海駅でさつま揚げを買ったりして、すぐに東京へ。有楽町で買い物して、ミッドタウン内の住吉酒販で長崎の今里酒造の「六十餘洲」を購入し、帰宅。さつま揚げを食べつつ、酒飲みつつ、買ってきた本(『信長とクアトロ・ラガッツィ 桃山の夢と幻 + 杉本博司と天正少年使節が見たヨーロッパ』)などを読む。