Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

2020年7月24日

今日・明日で16本の講義動画を観て、かつ、それぞれについて150字程度の短い感想だったり、自由記述だったり、それなりに時間のかかる内容だったりのアサインメントがあるという、なかなかハードな内容をこなす必要がある。とりあえず、今日と明日の午後過ぎぐらいの分は終わらせておこうということでどんどん観ながら感想文を書く。

ペースが見えてきたので、途中、息抜きに『「世界文学」はつくられる: 1827-2020』を読み始める。著者の本はこれまで刊行された単著や翻訳書などあれこれ読んでいるのだが、今度の新刊もとても面白い。文学に関する学術的な専門書でありつつ、とてもリーダブル。どんどん読んで、第1章を読み終えたところで、授業に戻る。

書店へ行き、鈴木理策さんの『知覚の感光板』の中身を、他の書店だと観られなかったのがそこでは観ることができたのでパラパラめくってみて、驚く。不意に訪れるざわざわする感じ。なにこれヤバい!というわけですぐに購入。鈴木理策さんの写真をあまりちゃんと観ていなかったのだが、これはヤバい。

前ボケ・ピント面・後景による立体的な画面、ところどころに現れる光の粒・まだら模様、草木を揺らす風・水面のさざなみ・水の流れ、ごく短い瞬間に微小な差異がぎゅっと詰め込まれ、震動している。ごくありふれていながらも、貴重な瞬間。そういえばと思って、昨年刊行された『かたちは思考する: 芸術制作の分析』のセザンヌの章を読み返す。彼の写真におけるボケとブレは、セザンヌのストロークを代替する。震動する永遠において、その画面をデコードするあびに、わたくしたちの身体が新たに発生し続ける。世界が写真に写ったら、という感覚。

夕食を食べながら、「「渋谷慶一郎が語る〜テクノロジーと音楽〜」 - ららら♪クラシック - NHK」を観る。これまでも報道されていた、昨今のテクノロジーによる音楽実践の取り組みについての紹介や、渋谷慶一郎さんがゲストとして出演しての、自らの取り組みについての話や実演。

途中、ヤマハが開発したAIグールドが紹介されていて、既に聴いたことがあったのだが、あらためてこれはかなりグールドっぽくてすごいと思う。一方で、AIによるバッハぽいスコアと本物のバッハのスコアの比較があったのだが、明らかにAIの方は過剰かつダサい感じのスコアになっていて、AIによる演奏のほうがスコア生成より(少なくとも今回聞いたものでいうと)進んでいるというのは、面白い話だと思う。論理的なことより感覚的なことの方が得意というのは、現在のニューラルネットの達成と同様だ。

その後、ビールを飲みながら『「世界文学」はつくられる: 1827-2020』をひたすら読んで、読了。