Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

ペパボのエンジニア評価制度をパワーアップした

mizzyさんのエントリ(paperboy is hiring - Gosuke Miyashita)にある通り、ペパボでは、エンジニアに関しては一般のラインとは別に、専門職としてのキャリアアップをしていくラインがあって、ここ2年ほど運用され、よく機能しているところです。そんな折、技術基盤チームも陣容が充実し、社内にもその存在や成果が充分に浸透してきただろうというわけで、半年ほど前からあたためてきた新しい制度を、先日から運用開始しました。

今回の制度は、上述の専門職としての評価制度はそのままに、既存の半期ごとの目標設定 → 評価サイクルの中に、エンジニア的観点をより盛り込んでいこうというものです。エンジニアであろうがなかろうが、一般に、事業目標をブレークダウンしたものが個々人の目標 → 成果になっていくわけですが、そうしたプロセスにおいて、より多様な観点からアウトプットの生産性を向上させていくには、やはりそれを現に行う個々人(ここではエンジニア)の特殊な観点も必要と考えます。

そうした「観点」について、今回の制度はエンジニア全般に対して適用されるものなので、みんなにとって納得感のあるものでなければなりません。そこで、エンジニア全員に対して行ったアンケート結果を元に、技術基盤チームにおいてとりまとめ、以下の画像にあるようないくつかの軸を抽出しました。その過程で、自然と「大切にしてほしい3つのこと | 採用情報 | GMOペパボ株式会社」にあるような3軸にすんなりとハマったので、それをそのまま使うことにしました。

こうしてできた、この会社のエンジニアとして大切な考え方や振る舞いや、それを実際にアウトプットし、評価していくプロセスについて定式化した上で、東京・福岡で説明会を行ったりした様子がエンジニア評価のしくみをイイ感じにいじりましたであります | ジンジン(ペパボ人事のブログ)で紹介されています。「「まわりを巻き込もう」というけど、それって具体的にはどういうことだろうね?」などについて話し合うワークショップを通して、特別に新しいことをするというよりは、いまもやっている優れた振る舞いを、もっと意識的に、かつ、アウトプットをともなってやっていけばいいのだという共通了解が得られたかと思います。

もうひとつ、今回の制度の特徴として、評価にかかわるアウトプットをある程度定式化したことが挙げられます。基本は、これまたmizzyさんの別のエントリ(Paperboy's engineer evaluation system - Gosuke Miyashita)にある通りなのですが、当時とくらべて飛躍的にGitHubGitHub Enterprise(以下、GH:E)の利用が普及しており、多くの開発コミュニケーションが行われています。そこで、さらに一歩進めて、GitHub/GH:E上でのpull requestやコードレビュー、コメントなどをアウトプットの中心とし、評価を行うということにしました(もちろんそれだけではないですが)。

そうすることによって、アウトプットに至るプロセスをGitHub/GH:E上に集約できる、みんなが見えるところで議論する習慣が根付く、よりよいpull requestの出し方(例: github を用いた開発フロー テンプレート)が普及するといったメリットがあると思っています。そのことによって、さらにエンジニアのアウトプットが質・量ともによくなっていくことで、ひいては事業的な目標を達成する上で、大きな力になっていくことを期待しています(さっそく新卒2年目の若いエンジニアが「Githubで今日なにをしたか、調べるスクリプトを書いた - きたけーTechブログ」というものを作ってくれたりしています)。

今回はエンジニアの評価制度について述べましたが、評価制度そのものはひとつの手段であって目的ではありません。目的は、当然ですが、会社の持続的な成長です。そのための手段のひとつとして、まずはこうした制度を導入しているわけです。他にも、上述の「ペパボ人事のブログ」にも紹介されているフレックス制度の導入といった働き方のしくみについても改善を行っていますし、今後の事業課題の解決にとって必要な点については、制度で解決するものはそうしたらいいし、もっと別の手段が必要なことについては臨機応変に対応して、とにかくあらゆる手を打っていくつもりです。

というわけで、そうした環境にご興味のある方がおられましたら、エンジニアを始めいろいろな職種で募集を行っているところなので、是非以下をご覧になってください。