Kentaro Kuribayashi's blog

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書評『Webエンジニアの教科書』

ヒトメディアの3人による『Webエンジニアの教科書』をご恵贈いただきました。ありがとうございます。

Webエンジニアの教科書

Webエンジニアの教科書

桜の満開に咲き誇る今日このごろ、新入社員が入ってくる季節です。やることに濃淡はあれ、各社それぞれで新人研修をどう行っていくか、あれこれと考えを尽くしているところでしょう。ペパボでも「GMOペパボのエンジニア新人研修」に書いた通り力を入れていて、今年もまた、新しく入ってくる人々に対して円滑な組織社会化をもたらせるよう、受け入れ準備をしているところです。

エンジニアの研修カリキュラムとしては、大きくはRailsによるWebアプリケーションの基礎、構成管理ツールを用いたサーバ構築のふたつをやっていたのですが、今年はモバイルについてもやるようにしました。このご時世にモバイルについてまったくやらないのはさすがにありえないだろういうことで追加したわけですが、それで十分というわけではありません。

Webエンジニアとして「一人前」になるには、あれもこれもと言い出すとキリがない分量の知識を学ぶ必要が出てきます。

ここまで見てきたように、基本的にWebエンジニアがやる内容は多岐にわたります。技術的な移り変わりも激しいので、3年後、5年後というスパンで見ると、「今と同じ技術を使って同じことをやっている」と自信を持って答えられるひとは少ないでしょう。常に新しい技術や手法を学習することが必要になってくるのがWebエンジニアという職業だと筆者は考えます。

(p.16)

そう述べながら本書が例として挙げるのは以下の通り。

  • HTML
  • CSS
  • フロントエンド
  • サーバサイド
  • データベース
  • Webサーバ
  • AWS
  • GitHub

これらのうち、章を割いて解説されるものもあれば、少し触れられるだけのものもありますが、いずれにせよ「Webエンジニア」に求められる知識が、まさに「多岐にわたる」ことはよくわかります。我々も、研修の過程におけるおしゃべりや、先輩エンジニアたちによる講義、はたまた「Webアプリケーションは難しい」というスライドを示すことでもって、新人エンジニアに対して、求められるスキルの多様性を伝えてきました。

とはいえまあ、あんまり大変だとばかりいっていてもしかたないので、大変なことに変わりはないにしても、それなりに道をつけて一歩ずつ成長していってもらわないことには「研修」にはなりません。そういう意味で本書は、Webエンジニアとして入門したばかりの人々が、まず最初に一読してすべてを理解することは難しいかもしれないにせよ、その求められる領域の広さを、しかし要を得た選択と解説による記述でもって概観するには、ちょうどいい分量かもしれません。

当たり前ですが、この本だけで何かを完全に把握できるほどWebエンジニアは甘いものではないにせよ、右も左も分からないという初学者が、ひと通りあたりをつけ、次に何を学習するべきかを知るための道標として、役立つように思われました。その上で、コンピュータサイエンスの基礎についてもまた、移り変わりが激しい業界だからこそ長く役立つものだろうことは確かなのですから、それはそれでパタヘネ(コンピュータの構成と設計 第5版 上)や『詳解UNIXプログラミング 第3版』といった本をあわせて読むとよいのだろうと思います。

Webエンジニアの教科書

Webエンジニアの教科書