Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

2020年6月16日

今日は調子悪くで全然だったなあ。疲れが取れてない感じ。まあそういう時もあるか。しかし,だからこそそういう時でも最低限パフォーマンスを発揮できるような仕組みを整えて置かなければならないのだが。松尾先生の「なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか」は,ジョーク論文みたいな感じで定期的にバズるのだが,久しぶりに読み返して,これはこれでいいことをいっていると思う。やっつけ仕事と創造的仕事という区分がされるのだが,やっつけ仕事というと言葉が悪いが,意識が低くても最低限のパフォーマンスを発揮できるような仕組みを作っておくというのがそれに当たると解釈すると,それはそれでいつでも取り書かれるような体制にしておく必要があろうと思う。

まだ読み途中なのだが『心を知るための人工知能: 認知科学としての記号創発ロボティクス (越境する認知科学)』についての疑問をTwitterに書いていたのに対して,著者からコメントをいただく。明快な回答をいただいて,深く納得。また,そのことに対する今後の展望などもおかきになっていて,すごく楽しみだ。自分自身の問題関心ともおおいに接するところなので,研究を見守りたい。というのと,自分でもそのへんにインパクトをもたらしたいものだよなあ。どういうことかというと,情報システムが持つ内的表象(具体的にはカテゴリ認識など)と,社会システムにおける記号システムとのカップリングが相互依存的に記号を創発していくという話なのだが,情報システムに閉じた創発論ではなく,社会システムとのカップリングにおいて創発するというのが重要な示唆となる。それを工学的にどう構成できるかという問題。面白すぎる。

CTO協会仕事として,Slackコミュニティの盛り上げに取り組んでいるところ。昨今では多くのSlackコミュニティがあるが,常にわいわいしているところは少なかろう。また,会社のSlackと比べるとどうしても盛り上がりが弱くなるのは明白なので,同じようなテンションにはなりづらい。そもそもメンバーが何を期待しているのかを明らかにしないとなあというわけでアンケートを取ろうとしているのだが,コミュニティでそのあたりの専門家に教えを請いながら,一般のサービス同様にカスタマージャーニーマップを作ってエンゲージメントの高まるポイントや要因分析ができるようにするといいと教えてもらって,虚心坦懐に取り組むことにして,アンケートもその線で作った。作ってみると,ことはSlackコミュニティというタッチポイントだけにおさまることではなく,サービス全体のタッチポイントで考えなければならないという,当たり前の結論が得られるとともに,具体的な施策案もでてきてよかったなあ。ひとつひとつやっていこう。

夜は「オープンイノベーション論」の授業。なんかいまいち気乗りしない感じ。自分の業界においてこの20年で最大のイノベーションであると思うことは何かという題でプレゼンをするのが単位をとるためのゴールなので,とりあえずそれをきっちりやるようにする。いまのところ,「仮想化」というキーワードで発表しようかなと思っている。ITそのものが現実社会の写し絵であるというのがイノベーションではあるのだが,仮想化によってIT基盤が物理基盤から論理的に自由になることによって,よりITの表現能力が現実とは異なるレベルで飛躍したのだろうと思う。そのことでクラウドプラットフォームもできてきたし,IT基盤上のリソースがプログラマブルになって本質的にサイバー空間と呼べるものができてきた。その未来としては,最近自分自身大きな関心をもっているデジタルツインというパラダイムがある。そのあたりのオーバービューを述べたいと思う。副研究にもつながるかも。

随分前に書いた「老害について - Kentaro Kuribayashi's blog」というエントリがある方がとりあげたことによって少しバズっていたのだが,読み返してみると昔の自分にさとされているような気分になるなあ。やれていることもあるとは思うのだが,このエントリで自分にとって重要なのは,uncomfortable zoneに自分をおいているのか,そしてそこから自分自身を飛躍的に成長させられているのかということ。研究にしても仕事にしてもある程度そういう面はあって,けっこう厳しいなと思っていることがないわけではないのだが,向き合い方が甘いと思うし,uncomfortableな状態に甘んじているだけで,そこから飛躍できるような取り組みができているとはいいがたいと思う。自分自身のある程度得意だと思っている面についてだけやるのではなくて,そこからフォーカスして行くという,一種イヤな感じを覚えることにきちんと向き合って成果を出していくということをしなければならないと強く思う。