入山章栄『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』
著者の前作『世界の経営学者はいま何を考えているのか ― 知られざるビジネスの知のフロンティア』も刊行当時に読んで面白かったのだが、最近はHBRやWebメディアなどで精力的に論考を発表しているのを面白く読んでいたところ、それらをまとめたらしい本書が刊行されたので、さっそく買って読んだ。
今回の本は、そのようなビジネスメディア向けに書かれたこともあって、前作のような「最先端」な議論の紹介もしつつ、それが実践的にどのような示唆を持つのかをよりわかりやすく述べていて、読んでいてとても面白い。自分自身、あれこれつまみ食いしながらやっていたことにバックグラウンドを与えてくれるような話もあるし、古い見方をあらためてくれるような話もたくさんある。
そんなわけで、とてもオススメの本なのだが、いきなりこの本を読んでも面白いだろうけど、「最先端」ではない方の「経営学」ってどんなものなの?というのをある程度知っていると、より楽しめるだろうと思う。
- 作者: 入山章栄
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- はじめに
- Part1 いま必要な世界最先端の経営学
- 第1章 なぜビジネススクールでは最先端の経営学が学べないのか
- 第2章 「経営学は役に立たない」についての二つの誤解
- Part2 競争戦略の誤解
- 第3章 あなたの会社の戦略がうまくいかない、最も根本的な理由
- 第4章 成功しやすいビジネスモデルの条件とは何か
- Part3 先端イノベーション理論と日本企業
- 第5章 イノベーションの絶対条件!「両利きの経営」を進めるには
- 第6章 なぜ大企業は革新的イノベーションについていけないのか
- 第7章 「チャラ男」と「根回しオヤジ」こそが、最強のコンビである
- Part4 最先端の組織学習論
- 第8章 組織の学習力を高めるには、「タバコ部屋」が欠かせない
- 第9章 「ブレスト」のアイディア出しは、実は効率が悪い!
- 第10章 「失敗は成功のもと」は、ビジネスでも言えるのか
- Part5 グローバルという幻想
- 第11章 真に「グローバル」な企業は、日本に3社しかない
- 第12章 「世界がグローバル化した」「フラット化した」を疑え
- Part6 科学的に見るリーダーシップ
- 第13章 日本企業に、ダイバーシティ経営は本当に必要か
- 第14章 男性中心職場での「できる女」の条件
- Part7 科学的に見るリーダーシップ
- 第15章 これからのリーダーシップに向くのは、どのような人か
- 第16章 成功するリーダーに共通する「話法」とは
- Part8 同族企業とCSRの功罪
- 第17章 日本最強の後継者長は「婿養子」である
- 第18章 CSR活動の思わぬ副次効果とは
- Part9 企業活性化の経営理論
- 第19章 日本の企業活性化に必要なこと (1)簡単な「キャリア倒産」
- 第20章 日本の企業活性化に必要なこと (2)サラリーマンの「副業天国」
- 第21章 成功した起業家に共通する「精神」とは
- Part10 やはり不毛な経営学
- 第22章 「もうかる理由って結局なに?」を突き詰める学者たち
- 第23章 「リソース・ベースト・ビューが捉えきれないこと」とは何か
- Part11 海外経営大学院の知られざる実態
- 第24章 ハーバードを見て、米国のビジネススクールと思うなかれ
- 第25章 米国の大学の裏事情は、中国人が一番知っている
- 第26章 来たれ!世界最先端の経営学を語る人財よ
- おわりに
- 経営学ミニ開設
- 1 メタ・アナリシス
- 2 リアル・オプション理論
- 3 知の探索
- 4 トランザクティブ・メモリー
- 5 AAA分析
- 6 組織の進化論
- 7 内発的な動機
- 8 エージェンシー問題
- 9 4つの不確実性
入山章栄『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』を読む。
— あんちぽくん (@kentaro) November 22, 2015