カンタン・メイヤスー『有限性の後で』
『身体と親密圏の変容』(岩波講座 現代 第7巻)の続きで、新刊のカンタン・メイヤスー『有限性の後で』を読んだ。
事実性の必然性なしの絶対化については説得的だし、確かに、なぜ相関主義的な見方ばかりがこれまで取り沙汰されていたのだろうかという疑問を著者と共有することになったわけだが、翻ってそれが「変化し得る」というのがどうにも納得できない。
「必然でない = 変化し得る」ということなんだろうけど、そういうと変にポジティブに響くし、現にポジティブな意味を込めているのだろう。特に第5章で、頻度主義に対して数学の存在論的絶対化をいうのであれば、なんの理由もなく事実が与えられ、さらにそれは変化することがないということが、カントール的な意味において必然的でなく起こり得るのでは?というようにも思える。
事実性が、絶対的かつ非-必然的かつ不変であるということが、本当にあり得ないのだろうか。
- 作者: カンタンメイヤスー,Quentin Meillassoux,千葉雅也,大橋完太郎,星野太
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 2016/01/23
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 序文(アラン・バディウ)
- 第1章 祖先以前性
- 第2章 形而上学、信仰主義、思弁
- 第3章 事実論性の原理
- 第4章 ヒュームの問題
- 第5章 プトレマイオスの逆襲
- 訳者解説
- 人名索引
書店でメイヤスーの『有限性のあとで』を検索したら整理中なのでスタッフに訊けというのですきいたら、あらためて検索したけど見つからなかったようです「メイヤスーの『有限性のあとで』でいいんですよね!!???」と大声できいてくるので、恥ずかしくて目を背けた。そんな大声でいわないでほしい。
— あんちぽちゃん (@kentaro) January 23, 2016