保城広至『歴史から理論を創造する方法』
社会科学の方法論には興味があって、これまでにも本書でも言及されているKKV『社会科学のリサーチ・デザイン』や、久米『原因を推論する』、高根『創造の方法学』などなどあれこれ読んだりした。本書はその最新版って感じ。
イシュー・時間・空間を限定(中範囲)した上で、その中であり得る事例を全枚挙し、アブダクションにより導出された仮説を作っては捨ててを繰り返し、歴史学的方法でもって記述をしつつ、事例/原因のマトリクスで必要条件/十分条件等を導出するのだというのは、なるほどその通りだなあと思う。
一方で、マートンを読んでないからわからないけど、「中範囲」ってのはたとえば「〜という論理的な仮定をおいた上で、〜は〜だ」という「理論」にはなり得ないのかな。本書で例示される物理的な「中範囲」内の十分条件を示した話だけだと、なんかそれって「理論」なのかなあという気持ちになる。
- 作者: 保城広至
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2015/03/27
- メディア: 単行本
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- はじめに
- 序章 歴史と理論: 古くて新しい緊張関係
- 第1章 中範囲の理論: イシュー・時間・空間の限定
- 第2章 「説明」とは何か?
- 第3章 帰納/演繹、アブダクション
- 第4章 構造的問いと事例全枚挙
- 第5章 過程構築から理論化へ
- 終章 さらなる議論を!
保城広至『歴史から理論を創造する方法 社会科学と歴史学を統合する』を読む。
— あんちぽくん (@kentaro) July 20, 2015