2018年4月1日
今日が最終日のブリューゲル展へ。ピーテル・ブリューゲル1世から始まり150年にわたるブリューゲル一族(曾孫の世代まで)による画業を総覧したもの。風景や農民たちを描いた絵もよいのだが、やっぱりヤン系列の花の絵(特に「籠と陶器の花瓶に入った花束」のなまめかしさ!)、さらにはヤン・ファン・ケッセル1世の、大理石に描いた虫の絵にときめいたなあ。あれ、めちゃほしい。売ってくれないかな〜、いくらかな〜などと思いつつ、ポストカードを購入した。
続けて、プラド美術館展へ。プラドのコレクションによる、画家たちが画業を自由学芸のひとつとして打ち出し始めた17世紀のスペインの絵を中心にした企画。のっけから、フランシスコ・デ・スルバランの「磔刑のキリストと画家」の静謐さに心打たれる。ついさっき見たブリューゲル一族からもいくつか出展されていて、ヤン1世の「視覚と嗅覚」に、絵画への強い自負を感じる。また、ルーベンスの「アンドロメダを救うペルセウス」の女性に、後期ルノアールの女性の描き方の元ネタを見たり、アレハンドロ・デ・ロアルテの「鳥売りの女」の描く、足を縛られて逆さ吊りされた鳥の迫力に感嘆したりする。
銀座へ。GINZA SIX内の蔦屋のスタバでサラ・ムーンの写真プリントと写真集を売る展示がされていた。シャネルのギャラリーでもいまやっているのだが、なんかそれだけ見て、そっちの方をみるのはもういいかなという気持ちになってしまう。悪くはないんだけどなあ。本屋で、ひととおり画集などを見て回る。ハンマースホイの2008年の図録がほしかったのだが、プレミアがついて1万円以上で売られていて、やめた。その他、ロバート・ライマンの画集などもほしいなあ。と思いつつ、何も買わずに出る。
さらに広尾から元麻布のカイカイキキギャラリーへ。ヴァージル・アブロー個展“PAY PER VIEW”を観る。うーん、意図はよくわかるのだけど、アートワールドへのアイロニーだけでユーモアがないというか。さほど面白いとは思えなかったなあ。
渋谷の丸善ジュンク堂書店で『現代写真論 新版 コンテンポラリーアートとしての写真のゆくえ』と、美術手帖のバックナンバーを2冊買い、Goodbeer Faucetsでビールを飲みつつ読む。現代写真を特集した「美術手帖 2016年9月号」はとてもよかった。巻頭の横田大輔さんを筆頭に、写真の新しい表現を切り開いている人々がたくさん紹介されていて、「こんなこともできるんだ!」と驚くばかり。さらに、読みさしの『アート戦略/コンテンポラリーアート虎の巻』を読了。最初はアートワールドがどうちゃらみたいなのに、『現代アートとは何か』を読んだ直後なので食傷気味だったのだが、特に後半の写真の可能性を語るあたりが、とてもエンカレッジングでよかったなあ。
その関連で小山泰介さん、水谷吉法さんのサイトを眺める。特に、水谷さんの川鵜のシリーズにときめく。電線にとまるたくさんの鳥が、譜面のような抽象性をもたらすという、新しい感覚!ときめく〜。