Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

読んだ

伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』

身近な「疑似科学」について取り上げつつ、そもそも科学ってなんだっけ?という話をしながら、科学哲学のトピックについて広く語った本。最後にはベイズ主義まで取り上げる。 疑似科学と科学の哲学作者: 伊勢田哲治出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日:…

村上春樹『職業としての小説家』

紀伊國屋書店が「初版10万冊の9割を出版社から直接買い取」(紀伊国屋書店、村上春樹氏の新刊「買い占め」 :日本経済新聞)ったことでも話題の、村上春樹さんの新刊『職業としての小説家』を買って読んだ。村上さんの本は、小説もエッセイもわりと読んでいる…

海野裕也他『オンライン機械学習』

この分野について、ひと通りトピックをあたっておきたいなと思って、目を通してみた。いろいろ出ているので、興味を覚えるところから読んでいくことに。 オンライン機械学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)作者: 海野裕也,岡野原大輔,得居誠也,徳永拓…

高田明典『難解な本を読む技術』

なんで買ったのか忘れたけど、Kindleにあったので読んだ。精読するならこれぐらいやらんとならんのだろうけど、そんな時間はとてもじゃないけどないなあ。 難解な本を読む技術 (光文社新書)作者: 高田明典出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/12/20メディア…

佐藤航陽『未来に先回りする思考法』

先日の上場とほぼ同時に発売された本。テクノロジーの進化にはあるひとつの「流れ」があるので、それを見極めて、タイミングをつかんで乗れるようにしましょうという内容。IT企業の経営者による「思想」本という意味では『鈴木さんにも分かるネットの未来 (…

近藤正高『タモリと戦後ニッポン』

一連のタモリ本ブームはスルーしていたのだけど、@donkouさんがタモリ本をお書きになられたと知って、それならばと思って買って読んだ。まず、タモリさんの伝記的な話をほとんど知らないので、単純にそれだけで面白い。また、「戦後ニッポン」とある通り、芸…

デイヴィッド・ロイ『西洋の欲望 仏教の希望』

宮本啓一『わかる仏教史』から引き続き、仏教本。アメリカにおける最近の仏教的な考えを知りたくて読んだ。こういう本よりは、『アメリカ仏教―仏教も変わる、アメリカも変わる』のような本を読むほうがいいんだろうなと思った。 西洋の欲望 仏教の希望作者: …

宮本啓一『わかる仏教史』

『別冊サンガジャパン(1) 実践!仏教瞑想ガイドブック』の続き。仏教そのものについても多少は知っておいた方がよかろうということで読んだ。上座部仏教の解説がほぼなくて残念だけど、現在に連なる歴史の流れについておおまかに知れたのでよかった。また、…

『別冊サンガジャパン(1) 実践!仏教瞑想ガイドブック』

いま個人的に一番アツい雑誌であるところの「サンガジャパン」の、瞑想を特集した別冊を読んだ。そもそも瞑想とは仏教の中でどういう位置づけなのかというところから始まって、マインドフルネスの歴史、医療における受容、実践方法や体験できる場所の紹介ま…

家山光雄『プロダクト・マネジャー制 製品開発と販売競争のための新体制』

藤本隆宏+キム・B・クラーク『増補版 製品開発力』からの流れで、プロダクト・マネジャーの歴史的展開を知りたくて、買って読んだ。1966年刊行の本、すなわち約50年前の本なのだけど、ただひたすら「何も変わってないな」と思うばかり。むしろ、Web業界でな…

ポール・J・シルヴィア『できる研究者の論文生産術』

書店で見て気になったので購入して読んだ。 書くというのは気の滅入る作業だ。下水管の修理や、霊安室の運営にもかなり似ていると思う。自分で死者の装いを整えた経験はないが、遺体の防腐処置と比べても、防腐処置についての文章を書くというのは、さらに気…

デイヴィッド・ゲレス『マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える』

バンテ・H・グナラタナ『マインドフルネス 気づきの瞑想』の続きで、アメリカにおけるマインドフルネスの状況を知りたくて読んだ。 歴史的な話はよくまとまっていて面白いのだけど(それだけでも読む価値あり)、企業での実例みたいな話はだいぶフォーカスが甘…

池上英洋『西洋美術史入門』

Kindle版が出ていたので買って読んでみた。大学の一般教養の講義っぽい感じ。いわゆる知識を編年的に述べた「美術史」の本だと思うと拍子抜けするかもしれないが、「美術」の歴史の入門というより、「美術史」という学問の入門だと思って読むとよいように思…

バンテ・H・グナラタナ『マインドフルネス 気づきの瞑想』

アルボムッレ・スマナサーラ『自分を変える気づきの瞑想法【第3版】』からの続き。「実践」に関する本も、いくつか読んでみないとひとによっていうこと違うだろうし。 この本は、図解がないのが残念ではあるにせよ、微に入り細を穿って説明していて(というか…

アンディ・ハント『リファクタリング・ウェットウェア』

アルボムッレ・スマナサーラ『自分を変える気づきの瞑想法【第3版】』の流れで、瞑想について記述のあるエンジニアリング本というわけで、この本も読んでみた。トピックがたくさん語られていて立派だなあと感心するが、読み飛ばしまくった感じ。 リファクタ…

アルボムッレ・スマナサーラ『自分を変える気づきの瞑想法【第3版】』

ウ・ジョーティカ『ゆるす - 読むだけで心が晴れる仏教法話』の流れで、「実践」について書いてあるいろんなひとの本を読んでみようというわけで、目についたこの本を買って読んでみた。 瞑想法については絵入りでわかりやすく説明されているのだけど、前半…

藤本隆宏+キム・B・クラーク『増補版 製品開発力』

藤本隆宏『生産システムの進化論』をさらにさかのぼって、この本を読む。Webサービスの外延がモバイルや、さらにはIoTのようなところに広がっていくのに際して、我々のサービス開発はますます自動車産業の80〜90年代をなぞっていっているように思える。そう…

しみけん『光り輝くクズでありたい』

AVをほとんど観ないので知識はあまりないのだけれども、AV業界周辺についてのノンフィクションなどを読むのは好きだ。著者については『「AV男優」という職業』という本で知って面白いひとだなあと思ったのだけど、AV男優ってどんな仕事? カリスマ男優しみけ…

ウ・ジョーティカ『ゆるす - 読むだけで心が晴れる仏教法話』

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント』、ニー仏(魚川祐司)『だから仏教は面白い!』の流れで、著者が最近訳出・刊行した本。おっしゃる通りですね、と思いつつ読んだ。 収録されている2つの法話ともに、訳者によって、以下でPDFで公開されています。 ウ・ジョ…

水木しげる『猫楠 - 南方熊楠の生涯』

唐澤太輔『南方熊楠 - 日本人の可能性の極限』の続きで読んだ。伝記的事実をきちんと盛り込みつつ、漫画的にむちゃくちゃな熊楠像を描いていて、とても面白い。 猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫)作者: 水木しげる出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日:…

ニー仏(魚川祐司)『だから仏教は面白い!』

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント』の続きで読んだ。というか、その本の導入として読むのがよさそうな本。 『ゼロポイント』でも、この本の途中までも、なぜ「実践」が必要なのかよくわからなかったのだが、悟ったあとの状態に対する知覚、すなわち脱すべき…

栗原康『現代暴力論』

栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい』の続きで、栗原康さんの新刊『現代暴力論』を読んだ。『はたらかないで』と、(まだ読めてないけど)『大杉栄伝』を足しあわせたような感じ。『はたらかないで』のような闊達さはやや薄く、新書ぽい感じの文体。し…

唐澤太輔『南方熊楠 - 日本人の可能性の極限』

南方熊楠について、気にはなっていたけれどもなんというか忌避するところがあって、いままでほとんど触れずにきたのだけど、この中公新書の伝記的な本がKindle化されていたので、寝床読書のお供として買って読んだ。そんなわけなので伝記的な話をほとんど知…

坂井豊貴『マーケットデザイン』

坂井豊貴『多数決を疑う - 社会的選択理論とは何か』の続きで読んだ。こちらもまた、社会的選択理論と同じく、集合的な望ましい価値を追求する話。そういうのは世の中にいくらでもあるだろうので、役に立つものを自分でも作ってみたいなあと思う。 マーケッ…

坂井豊貴『多数決を疑う - 社会的選択理論とは何か』

著者の『社会的選択理論への招待』が気になっていたのだけど、機会がなくて読めずにいたところ、この本がKindle化されていたのを見つけたので買って読んだ。「社会的選択」の諸方式による問題点を具体的な例として示されると、そもそも「望ましい選択」とは…

栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい』

知らない人の本なのだが、@nagayama が買っていたのを見て購入。社会に対する意見としては相容れないのだけれども、話の運び方が上手だし、表現も面白い。「生の負債化」というのもよいフレーズだ。 はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解…

岸政彦『街の人生』

岸政彦『断片的なものの社会学』が面白かったので、同著者のこの本も読んだ。『断片的』にもいくつかあった形式の、インタビューのみで構成された本。今回は著者の考えがほぼ反映されておらず、淡々とインタビューを読む感じ。これはこれでとても面白い。 た…

保城広至『歴史から理論を創造する方法』

社会科学の方法論には興味があって、これまでにも本書でも言及されているKKV『社会科学のリサーチ・デザイン』や、久米『原因を推論する』、高根『創造の方法学』などなどあれこれ読んだりした。本書はその最新版って感じ。 イシュー・時間・空間を限定(中範…

戸田山和久『哲学入門』

レイチェル・クーパー『精神医学の科学哲学』など、科学史や科学哲学の本をちょっとずつ読んだので、1年ちょっと前の刊行当初に買って読みさしてあったこの本をあらためて読んだ。 「意味」や「機能」など、目次の章タイトルになっている言葉について、「あ…

青木峰郎『10年戦えるデータ分析入門』

版元のSBクリエイティブさんからいただきました。ありがとうございます。 10年戦えるデータ分析入門 SQLを武器にデータ活用時代を生き抜く (Informatics &IDEA)作者: 青木峰郎出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2015/06/30メディア: Kindle版この商…